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万葉集での代表作
稲美町は、兵庫県瀬戸内の播磨平野東部に位置し、東に神戸市、南に明石市、西に加古川市、北に三木市に接しています。
当時、印南野は、大和朝廷と九州を管轄していた太宰府との交通の要路でもあり、官人たちの往来が盛んであった。
春夏期の緑。秋冬期の紅葉や落葉の風情。加えて白帆の行き交う瀬戸内の青い海。
これら水陸の調和した風景が、ついつい足を留めさせ、筆を走らせたとも思われます。
また、聖武天皇もこれらの風景の美を賞することが目的で、印南野行幸をされたとも伝えられています。
ここ稲美町は、1,300年も前から津々浦々に知れ渡った有名な土地であり,歴史の息づく伝統ある町でもあります。
いくつか紹介いたしましょう。
柿本人麻呂
稲日野も 行き過ぎかてに思へれば 心恋しき加古の島見ゆ
名ぐはしき 稲見の海の沖つ浪 千重に隠りぬ大和島根は
山部赤人
家にいて 吾は恋ひむな 印南野の浅茅が上に 照りし月夜を
印南野の 浅茅押し靡べさ 寝る夜の け長くしあれば 家し偲ぶはゆ
阿倍大夫
後れゐて 吾はや恋ひむ稲見野の 朝萩見つつ去なむ 子故に
阿宿王(あすかべのおおきみ)
印南野の 赤ら柏は 時はあれど 君を我(あ)が思(も)ふ 時はさねなし
作者不詳
印南野は 行き過ぎぬらし 天伝ふ 日笠の浦に 浪立てり見ゆ
明日(あす)よりは いなむの川の 出(い)でて去(い)なば
留(とま)まれ我(あれ)は 恋ひつつやあらむ