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ため池のひみつ(紙芝居)

紙芝居

いなみのをひらいて  ため池のひみつ


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みなさんは稲美町がどんな町か知っていますか。
池がたくさん見えますね。

それは、どうしてでしょう。
それは、このあたりが昔から他の地域より雨が少ないからです。
夏、花壇に水をやらないと
ぐったりして花が枯れてしまいますね。
それと同じで、お米や野菜も水がないと育ちません。

そのために稲美町に住む昔の人はたくさんの苦労をしました。

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昔といってもひいひいひいおじいさんが子どもだった頃、
ちょんまげを結って生活していた江戸時代。
稲美町はお米よりも綿をたくさん作っていました。

綿は水が少なくても育つし、木綿として着物の材料になるので
お殿様に税金(年貢)として納めることができたし、
売ってお金にすることもできました。
(読みながらゆっくり引く)

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明治という時代になりました。
町にはまげをきる人も現れました。
洋館が建ち始め、西洋の服を着たり、ガス灯がついたり、鉄道馬車が走ったりして生活が大きく変わりました。
国の仕組みが変わったのです。
(★印まで引く)

けれども田舎の暮らしは変わりません。
ところが、大問題がおきました。
税金を納めるのは「お金だけ」と法律で決まったのです。

(全部引く)

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おまけに外国から安い木綿が輸入されて、作った綿も商人が買ってくれません。

「どうしよう・・・。もっと水があってお米が作れたら、
売ってお金に出来るし食べることも出来るのに。」

稲美町の人たちは困りました。

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村人達は集まって相談しました。
「もっと池を作るか」
「でも池を作るには土地がいるぞ!」
「オレの土地に作るのは駄目だぞ!」
「隣町から水を引くか?」
「それだってお金もいる」
「そんなの無理だ」
「いまだってお金に困っているのに、大工事になるんだぞ」
「税金をまけてもらわれへんかなぁ」
「この前、庄屋さんが頼みに言ったが断られたそうや」
いろいろ話し合ったが意見はまとまりません。
(一呼吸をおいてから読む)
・・・しょうがない

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「もう一度頑張ってみよう」
「僕らも手伝うよ」
子ども達も一緒に毎日農作業を手伝いました。
けれども暮らしはちっとも楽になりません。

(★印まで引く)

お米が少なくなる季節は、夕ご飯もほんのちょっぴり、
今日は透き通るようなおかゆです。
「お腹がすいたよ~」
「昨日もろくに食べていないのに。」
(全部引く)

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「あれ、こんな夜に隣の家の人が、みんなでかけていくよ。」
「借金が貯まっていたからなぁ。
とうとう家と土地を捨ててどこかへ行くんやな。」
「そんな・・・、あの家には友達もおるのに。」

(さびしそうに)

「しょうがないんや。」

けれどもそんな我慢は長続きしません。

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「もうこれ以上我慢できん。」
「うん、いまのまんまやったらみんな飢え死にしてしまう。」
「それは困る。」「ウチは去年子供が生まれたばかりなのに。」
「それどころか、このままやったら、村人がみんな逃げて村が無くなってしまう。」
「やっぱりみんなで力をだしあって池をつくろう!水を引こう。」
「お金やったらなんぼかだしてもええぞ。」
「このまま借金で売るくらいやったら
わしんとこの土地に池をつくってもええぞ」
「わたしらはお金も土地もないけれど水を引く作業の手伝いでもええやろか。」

やっと、村の人の気持ちが一つになりました。

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こうして、池作りが始まりました。
また、村の人の気持ちがお役人にも通じて、
工事のお金を貸し出してくれることになりました。

でも、池ができるまでには、何年もの時間と
ひとしおの苦労がありました。

そして、ようやく御坂サイフォンとため池が完成して
水を引けるようになりました。
その途上で播州ぶどう園もできました。

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おかげで、いまの水田がひろがる緑の稲美町があります。
お腹いっぱい食べられるのも美しい自然に囲まれて暮らせるのも
ひいひいひいおじいちゃんたち先人のがんばりがあったおかげなんですね。

(一呼吸をおいてから読む)

ほら、いまとんぼが飛んでいったよ。

おしまい

注意

御坂サイフォンは稲美から見えません。

文・絵 後藤 美和子
協力 BOOKフレンド